5Gでパケ止まりがなぜ起きる?理由をネットワークエンジニアが解説します
「パケ止まり」「パケ詰まり」という言葉を知っていますか?最近よく聞く方も多いはず。
10月4日にdocomoの報道発表資料にて「パケ止まり」という言葉が出てきました。
以前ソフトバンクの新製品発表会でも「パケ止まり」という言葉が飛び交っていましたよね。
今パケ止まり問題がよく起きているんです。
パケ止まりの語源としては”パケットが止まる”ということから、アンテナが全部立ってたとしても通信ができない状態に陥ります。
じゃあアンテナピクトって何の意味があるの!?
って文句を言いたくなるのは分かりますが、実はそこにはちゃんと理由があるので、現役ネットワークエンジニアの僕が簡単に解説していきます。
簡単に解説するので、若干表現を変えていることをご了承ください。
パケ止まりが起きる理由は送信電力と受信電力の大きさの違い
スマホは基地局からの電波を受信します。
基地局から放たれる電波は遠くまで飛ばす必要があるのである程度電力が大きいです。
一方、スマホの電波はというと、基地局から放つ電力よりもかなり小さいです。
例えばスマホから放つ電波が大きいと、それはすなわち電力を大きく消費してしまうということなので、バッテリーを多く消費してしまいます。
スマホはバッテリー駆動であることを考えると消費電力を大きくできません。
スマホから基地局へ電波が届かないのが真の原因
パケ止まりが起きている本当の原因は、基地局からの電波は届いているけど、スマホ側の電波が届いていないという状態になってしまっています。
(実際は届いていますが、基地局で受信した電波は微弱すぎてデータを取り出せない。)
基地局からの電波が十分に届いているから、アンテナピクトは問題なくバリバリ立ってます。
5Gエリアの端でパケ止まりが起きる
『基地局からスマホへの5Gの電波は届くが、スマホから基地局への5Gの電波は届かない』という条件下でパケ止まりが発生します。
すると、感覚的にも分かるかと思いますが、この問題は5Gエリアの端で起きるという訳です。
5Gがまだまだ普及の段階で一部にスポット的に存在するため、5Gエリアに”端”が存在してしまうんですよね。
ちなみに4Gは日本全国ほぼカバーされ、端がないようにかなりの数の基地局が打たれています。
端が来る前に次の基地局と重なり合うように設置されているので、エリアの端は全く意識しなくても問題ありません。
一方で5Gは基地局がスカスカな事もあってパケ止まりが頻発しているのです。
5Gは都内歩いていても普通に端が存在しますもんね。
パケ止まりの対策
パケ止まり対策として正式に発表されているのは以下です。
- 5Gエリアの積極的な拡大
- ネットワーク装置のチューニング
5Gエリアの積極的な拡大
5Gを速く展開していき、5Gエリアの端を無くしていきます。
理論的には、自身の生活圏内で5Gの端さえなくなれば、パケ止まりの問題は起きなくなります。
ですが、4G以上に基地局の数打たないといけないので、相当大変だと思います。是非頑張ってもらいましょう。
5Gと4Gの電波の違
5Gの電波は周波数が高く、4Gに比べ電波が飛ばない傾向があります(距離による減衰が大きい)。そのため、1つの基地局でカバーできるエリアが狭く、4Gよりも数多くの基地局を設置する必要があります。
ネットワーク装置のチューニング
もう一つはネットワーク装置のチューニングという言葉で濁していますが、説明見るからに、
- 1ユーザーに割り当てる周波数を少し多めに確保することで、通信速度や安定性を向上させる
- 送信(上り通信)には5Gを使わず、安定した4Gを使うようにする
という旨の記載があります。
上り通信に4Gを使えば、今回の問題は解決しますね。
こういった電波のチーニングや電波の使い方については事業者側しか実施できない対策のため、対策が打たれるまでは待っておきましょう。
僕らが今からできる対策は?
今からできる対策
- モバイルデータOFF/ONを行う
- 機内モードON/OFFを行う
- 移動する
このくらいじゃないかなと思います。
結局のところ、5Gエリアの電波の弱い端の部分において、端末が電波を送受信する際の処理をどのようにするかの点です。
そのため、モバイルデータや機内モードをON/OFFすることで今掴んでいる5Gの基地局を一旦離し、現時点でつながりやすい基地局へとつなぎ直しましょう。
一旦離せば、最も安定した基地局へとつなげに行くので、改善されるかと思います。
(端末種類やキャリアによって挙動は変わると思います。)
本記事のまとめ
本記事では5Gでパケ止まりが起きる理由を解説してきました。
主な原因として、スマホの電波到達範囲と基地局の電波到達範囲が異なることでスマホ側の電波が届かない状態になってしまうことが考えられます。
これは5Gエリアがスポット的に展開されていることで5Gエリアの端が存在することが原因であり、5Gが全国を網羅できるようになると解消されると思われます。
また、各キャリアが「パケ止まり」対策もしてきているので、徐々にパケ止まりは無くなってくるのだろうと思われます。
パケ止まりが起きた時の対策として、モバイルデータをOFF→ONにしてみると解消する可能性があります。
参考リンク
▶なんちゃって5Gって何?メリット・ デメリットを解説します
▶通信の最適化とは|メリット・デメリットについてわかりやすく解説
▶ドコモで5Gエリアなのに5Gにならない理由を現役エンジニアが解説します