楽天回線エリアなのに楽天回線に接続されない理由と対処法
動画を観ていたらなぜかネットワーク制限にかかってしまった・・・!!
楽天回線エリアって書いてるのになのにパートナー回線にしか繋がらないんだけど!
楽天モバイル利用時にこのようなことを思った方も多いはず。
結論から言うと、
楽天回線エリアだから楽天回線に必ず繋がるというわけではない
なぜこのようなことがあるのかをネットワークエンジニアの観点から解説していきます。
厳密なこと言うと多少ややこしい部分があるので、イメージだけお伝えしていこうと思います。
楽天回線エリアなのに楽天回線に接続されない3つの理由
あなたのスマホが楽天回線に接続されない理由は以下の3つです。
- 楽天回線は電波の周波数が高く不安定(電波の特性)
- 楽天回線エリアは”論理的”なエリア地図(エリアの定義)
- 楽天回線エリアでも障害物の影響などで楽天回線が届いていない(障害物の影響)
上記の理由により楽天回線に接続されなくなっていると考えられます。
ちなみに、どうしても楽天回線につながらない方や圏外になってしまう方は、あきらめて他の格安SIMに乗り換えたほうが精神的にも穏やかになれますよ。
1.楽天回線は電波の周波数が高く不安定(電波の特性)
楽天回線とパートナー回線では電波の利用している電波の周波数が異なっています。
楽天モバイルで扱う回線の周波数帯(band)は以下のband3、band18の2種類あります。
- Band 3 [1.7 – 1.8 GHz](1730MHz~1750MHz/1825MHz~1845MHz)
-
楽天モバイルが唯一扱える周波数帯。
他のキャリアも使用している周波数帯であり、日本で発売されている端末であれば対応している。
- Band 18 [800 MHz](815MHz~830MHz/860MHz~875MHz)
-
パートナーから借りてる周波数帯。
上記、楽天回線(band 3)に接続できない時用にこのバンドをauから借りている。楽天モバイルの基地局はまだまだ少ないので、band 18にも対応しエリアをカバーしている。
(参考:総務省「1.7/3.4GHz帯の周波数再編の概要」)
回線 | Band | 周波数帯 | 特徴 |
---|---|---|---|
楽天回線 | band 3 | 1.7 – 1.8 GHz帯 (1730MHz~1750MHz、 1825MHz~1845MHz) | 電波到達距離が短い 障害物に弱い |
パートナー回線 | band18 | 800 MHz帯 (815MHz~830MHz、 860MHz~875MHz) | 電波到達距離が長い 障害物に強く、回り込める |
band 3(楽天回線)は周波数が1.7 – 1.8 GHzであり、band18(パートナー回線)に比べて高い性質を持っています。
まずは「楽天回線の方が周波数が高い」と覚えておきましょう。
高い周波数の電波を通信に利用することは、以下のように少々不利なことがあります。
高い周波数(楽天回線)の特徴
- 電波の直進性が強い
- 電波の伝搬距離が短い
- 電波は品質低下が頻繁に起きる
電波の直進性が強い
電波の直進性が強く障害物に回り込みにくくなります。窓や扉、壁の多い室内では電波が入りづらいです。
楽天モバイルはこの傾向が特に強いです。そのため、楽天回線よりもパートナー回線の方に繋がることが頻繁に起きます。
電波の伝搬距離が短い
周波数の高い電波は、低い周波数と比べて電波が遠くまで飛ばなくなります。
(専門用語で言うと、自遊空間伝搬損失が大きくなります。)
そのため、通信基地局1つあたりのカバー範囲が狭いので、理論上はドコモ、au、ソフトバンクよりもさらに多くの通信基地局を設置する必要があります。
しかし、まだまだ少ないのが楽天モバイルの現状です。
電波の品質低下が頻繁に起きる
障害物のある場所では、楽天回線の電波が入りづらいことが原因で著しく弱まってしまいます。
ゆえに、安定しているパートナー回線の方に頻繁につながってしまいます。
2.楽天回線エリアは”論理的”なエリア地図(エリアの定義)
楽天モバイルが作成したエリアマップは、実は実際とは異なっています。
というのも、楽天回線エリアマップは、基地局の位置から算出した論理マップであり、エリア内に行けば必ず楽天回線につながる保証はありません。
どうやって”楽天回線エリアマップ”を作成しているのかがわかる1つの要素として、楽天モバイルの公式ページ「通信・エリア」の項には以下のような表記があるのご存じでしょうか。
※サービスエリアは計算上の数値判定に基づき作成しているため、該当の通信状況と異なる場合があります。
楽天回線エリアとは?
つまり、「楽天回線の基地局を設置した場所から半径何メートルまで電波が到達するか」をベースに計算して日本地図上に色を塗ってエリアマップを作成しています。
なので実は障害物があって電波が来てないってエリアが多数存在していてもおかしくないのです。
こうでもしなければエリアマップなんて作れないんです。
また、電波はすごく繊細で常に電波範囲が変動しています。
雨が降る | 電波が雨に吸収される。 |
---|---|
人・車等 が通る | 直接波と反射波が合わさり弱めあう場合がある |
建物が建つ | 直接波と反射波が合わさり弱めあう場合がある 基地局との見通しの関係が無くなり、 届かなくなる可能性がある (個人的には日照権と同じくらい重要) |
そのため、エリアマップ上では楽天回線エリアだと思っていたけど、実際はバリバリのパートナー回線だった、ということも十分にあり得るのです。
3.楽天回線エリアでも障害物の影響などで楽天回線が届いていない(障害物の影響)
「2.楽天回線エリアは”論理的”なエリア地図(エリアの定義)」と似ていますが、楽天回線エリアのど真ん中でも障害物の影響で、電波が届かなくなっている場所がスポット的に存在します。
特にビルなどの室内では、壁、窓、扉などの影響で電波がさえぎられてしまい楽天回線電波が届かなくなってしまいます。
特にパートナー回線の方が届きやすいので「楽天回線電波は届かないけどパートナー回線電波は届く」というエリアが存在してしまいます。
実際に楽天回線が届いているかを確認する方法
ここで、あなたの今いるエリアに本当に楽天回線が届いているのかを確認する方法を紹介します。
公式ページにある楽天モバイルエリアマップを確認してみましょう。
濃いピンクが楽天回線エリア、薄いピンクがパートナー回線エリアを示しています。
楽天回線の基地局は急激に増えてきているので、最新のマップ状況は楽天モバイル公式サイトを確認してみてください。
楽天回線エリアにいても繋がらない人もいるかと思います。
そこで実機を使った楽天回線を受信しているか分かる方法をご紹介したいと思います。
楽天回線の電波を受信できるか確認する方法
- 「設定」をタップ
- 「ネットワークとインターネット」をタップ
- 「SIM」をタップ
- 「詳細設定」をタップ
- 「ネットワークを自動的に選択」をOFFにする
- 利用可能なネットワークが検索される
- 検索結果の一覧に「440 11(またはRakuten)」があればその電波が楽天モバイルとなる
たったこれだけで楽天回線の電波を受信できているかどうかが分かります。
家の中でやると障害物(窓、扉など)の影響でもしかしたら受信できていないかもしれません。
そんな時は窓際に行ってみたり窓を開けてみると一応解決したりします。
(上記はPixel4a5Gでの操作方法になるので、端末によっては若干操作が異なる可能性があります。)
iPhoneの場合は、下記のように裏コマンドから接続ネットワークの周波数帯を確認できます。
- 電話アプリのを開き、キーパッドで【*3001#12345#*】をダイヤル入力します。
- 発信ボタンを押す。(やってることは、上記番号に電話をかけるイメージです。)
- Field Testという裏メニューが表示されます。
- Field Testより『Serving Cell Info』を選択します。
- Serving Cell Infoより 【Freq Band Indicator】に記載されている値を確認します。
値が18ならBand18、つまりパートナー回線。値が3ならBand3、つまり楽天回線。
という確認方法になります。
パートナー回線に繋がった時に楽天回線に繋げる方法
パートナー回線に繋がってしまったスマートフォンを楽天回線に繋げる方法をご紹介します。
- 今掴んでいる電波を離す
- 楽天回線の電波だけを拾うようにする
- 楽天回線に接続時にのみモバイルデータONにする
今掴んでいる電波を離す
パートナー回線に接続された場合、ある一定の品質まで悪くなるまで他の基地局に繋ぎ変えることはしません。
そのため、一度パートナー回線を掴むとずっと掴みっぱなしになる可能性があります。
楽天回線エリアで楽天回線に接続させたい場合は、以下の方法を試して掴んでいる電波を一時的に離してみてください。
詳しく言うと、受信電波強度の下限値を下回るまではずっと今の基地局を使い続けます。
ですが、パートナー回線は周波数が低いのでなかなか電波強度が低下せずつかみっぱなしになることがあります。
- モバイルデータをOFFにし、再度ONにする
- 機内モードをONにし、その後OFFにする
- 電源をOFFしてみてONにする(再起動)
上記の操作で掴んでいる電波を一度離すことで、その場で楽天回線が使えそうなら楽天回線を掴みます。
今までなかなか楽天回線を掴まなかった方でも、各端末ごとにAndroid OSのバージョンアップに伴い電波の最適化を図り、繋がるようになるといったケースもあります。
楽天回線の電波だけを拾うようにする
裏を返せば「band18を掴まないように除外設定する」という方法です。受信バンドの除外設定を行います。
W04向けやサムスン製のスマホにはそういったアプリや方法があるのですが、全スマホで共通して使えるものは無いようです。
例えば、一部のスマホでは開発者オプションを有効(本当に必要かは定かではない)にしたのちに電話ダイヤルアプリを開いて「*#*#4636#*#*」や「*#*#2263#*#*」と打つことでBandSelectモードに入れる機種があります。
ちなみに僕のOPPO Reno Aには隠しコマンドはありました。
ダイヤルアプリで「*#899#」と入力すると以下のようなエンジニアモードへ入ります。
エンジニアモードでbandSelectのようなものを探してみたのですが、どうやらなさそうなんですよね。
automatic testやmanual testといった、工場での出荷前試験をするときのようなモードがあるのが分かります。
電波周りの設定に関しては触れないようになっていました。
楽天回線に接続時にのみモバイルデータONにする
仕組みとして、楽天回線に接続時にはモバイルデータをONにし、パートナー回線と接続された場合はモバイルデータをOFFにするようなアクションをつくることができれば実現します。
- 楽天回線に接続するとモバイルデータONにする
- パートナー回線に接続するとモバイルデータOFFにする
上記のような動きをしそうなアプリがありました。「LTE回線状況チェッカー」というアプリです。
おすすめアプリ「LTE回線状況チェッカー」
通知バーやウィジェットとして、常に接続回線の監視ができるアプリです。
使い方については以下にまとめていますので合わせてご覧ください。
まずアプリをダウンロードします。→「LTE回線状況チェッカー」
すると位置情報へのアクセス権限の許可を聞かれますが、OKします。
アプリを開くと以下のような画面になります。
接続回線がパートナー回線であれば「パートナーエリア」と表示され、楽天回線であれば「楽天エリア」と表示されます。
バンドの値と共に表示されるので分かりやすくて良いですね!
デュアルSIM構成の場合は、右上のボタンを押すことで接続回線を確認したいSIMを切り替えることができます。
僕の場合はSIM1にOCNモバイルONE、SIM2として楽天モバイル(eSIM)を設定しているので「2」と表示されています。
また、常時監視がしたい場合は「常に監視」を有効無効を選べ、通知バーに楽天回線かパートナー回線かが表示される仕組みです。
さらに、回線が切り替わったときに通知が欲しければ、「常に監視が有効の場合、エリアの切替時に通知する」にチェックを入れておきましょう。
そうすることで、楽天回線に接続時にはガンガン使って、パートナー回線に切り替わると通信を控えることで、パートナー回線のデータ通信量を抑えることが可能になります。
ちなみに基地局の変化に合わせてモバイルデータをON/OFFする処理は、root化が必要ということでした。
▶今繋がってるのは楽天回線?パートナー回線?簡単に分かる『LTE回線状況チェッカー』の使い方
楽天モバイルのみの契約は正直おすすめできない理由
楽天モバイルに安易に乗り換えると上記のようなエリアの問題もありますし、場所によっては圏外になってしまったりと基地局数も圧倒的に少なくまだまだ不安定です。
そのため、できれば楽天モバイルに加えてその他の格安SIMも契約しておくことをお勧めします。(デュアルSIM)
その理由として、以前ドコモで通信障害が発生しました。
この場合ドコモユーザーは通信不可に陥ってしまいました。
万が一メイン回線に通信障害が発生してもサブ回線を予備として持っておけば切り替えて使えるので、通信障害に強くなります。
僕は「LINEMOとpovoをデュアルSIMでの併用が最強と考える理由」に記載のようにLINEMOとpovoをデュアルSIMで利用しています。
実際にLINEMOを使用してみた記事はこちらから参考ください。通信障害に備えておきましょう。
本記事のまとめ
楽天回線エリアなのにパートナー回線に接続される理由とその対処法について解説してきました。
- 楽天回線は電波の周波数が高く不安定(電波の特性)
- 楽天回線エリアは”論理的”なエリア地図(エリアの定義)
- 楽天回線エリアでも障害物の影響などで楽天回線が届いていない(障害物の影響)
これらが理由で、楽天回線エリアでもパートナー回線の品質が良い場合はパートナー回線に繋がってしまうことは十分あります。
一度パートナー回線に繋がってしまうと、楽天回線の品質が上回るまではパートナー回線に繋がりっぱなしになってしまうため、電波を一度離して掴みなおす必要があります。
モバイルデータ通信「OFF→ON」にしたり、機内モード「ON→OFF」にしたりしてみましょう。
また、リアルタイムで接続している回線が知りたい方は「LTE回線状況チェッカー」アプリを導入し、パートナー回線を掴んだときは通知が来るようにしておきましょう。
以上「楽天回線エリアなのにパートナー回線に接続される原因とその対処法」でした!